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美しい蛍光を発する「北海道石」

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2023年1月、新鉱物「北海道石(ほっかいどうせき)、 学名:hokkaidoite(ホッカイドウアイト)」が国際鉱物学連合の新鉱物・命名・分類委員会により新種として承認されました。珍しい有機鉱物で紫外線のブラックライトで照らすと黄色やオレンジに発光します。まだまだ謎の多い北海道石ですが、その魅力を紹介します。

北海道石発見の経緯

北海道石は、2023年に、新種の鉱物として国際鉱物学連合によって承認・登録された鉱物で、鹿追町と愛別町で発見されました。

鹿追の北海道石はオパールに含まれる形で発見されています。鹿追のオパールについては、10年ほど前に調査研究が行われ、紫外線をあてると黄色や緑色の蛍光色に光ることが発見されていましたが、光る原因等については明らかにならず、鉱物が光るのは微量に含まれる金属が原因ではないかという見解が示されていました。別の研究者グループによってさらに調査研究が行われ、蛍光発光するものの中に未確認の鉱物があることがわかりました。

愛別町にはいくつかの鉱山がありましたが、それらの鉱山の鉱石調査の際に北海道石が発見されました。鉱石に含まれる鉱物の近くに、自然光で黄色の微細な結晶やその集合体が見つかり、これを調べたところ「カルパチア石」という珍しい炭化水素鉱物であることがわかりました。カルパチア石は日本ではこれまでに産出報告がありませんでした。さらなる精査によってカルパチア石に伴ってよく似るが異なった鉱物が見つかり、これが研究の末に新種の鉱物であることがわかりました。

北海道石、その命名の由来

北海道石は、道内の離れたふたつの地域で発見されたため、北海道というくくりでまとめた方が良いということと、石炭など化石燃料の資源開発が行われてきた北海道で、新鉱物が植物化石由来の有機物であるということで命名されたそうです。鉱物の学名は、ラテン語で「石」を意味する「ite」を語尾につけるため「hokkaidoite」となりました。実は、hokkaidoiteは「道産子」を示す英単語でもあります。北海道石は、地理的、産業の歴史的背景、英単語という要素が結びついて命名されました。

そもそも北海道石とは?

【新鉱物「北海道石」】

北海道石は、鉱物の1種です。鉱物とは自然現象でできた、成分を化学式で表せる、結晶質の固体です。新種の鉱物として国際機関に登録された「北海道石」は、炭素や水素など生物が持つ元素でできた「有機鉱物」の一種です。一般的に、有機化合物の鉱物は結晶化が起こりにくく、熱安定性に乏しいことから珍しいとされていて、現在認定されているのは65種しかありません。これまでに知られている鉱物約6000 種のうち、その 99%は「無機鉱物」で「有機鉱物」は 1%程度しかなく、これまでの産出報告も稀です。有機鉱物のなかでも北海道石のような炭化水素鉱物は10種類しか見つかっていません。北海道石とカルパチア石は日本で初めて見つかった炭化水素の鉱物となります。

【北海道石の詳細】

北海道石は、鹿追町では火山中腹にかつて存在した温泉により形成されたオパール中に含まれており、愛別町では鉱山跡で石英鉱脈の隙間に淡黄色板状の結晶として存在しています。特に鹿追町においては、オパールの中に微細な淡黄色樹枝状結晶として多量に見られ、自然光では淡い黄色ですが、紫外線で照射と青~黄色~オレンジなどの色とりどりの蛍光を発する、美しく貴重なものです。北海道石は、有機物の組成を持つ鉱物です。具体的には、炭素と水素だけからなる有機化合物「ベンゾペリレン」(化学組成:C22H12)からなるレモン黄色の柱状結晶です。またカルパチア石は「コロネン」(化学組成:C24H12)という成分で、よく似た構造の分子からできた結晶です。

カルパチア石も紫外線で青緑に蛍光するので、北海道石との区別が難しい場合があります。

【今後の解明に期待】

北海道石の化学組成はコロネンに対し炭素原子が2つ少ないベンゾペリレンで、地質学的なコロネンの生成は、このベンゾペリレンを経由していることが推測されます。北海道石の産出は従来詳細な情報がなかったコロネンの生成メカニズムを解くカギとなりそうです。

また、石油や石炭などの有機化合物は、地下深部や海底に堆積した古生物の遺骸が高い圧力や温度により変質して生じるものと推測されています。北海道石においても、地下深部に眠る古生物遺骸への、火山活動による熱または熱水の作用により生じた熱安定性分子であることが予想されます。こうした変化の過程を調べることで、石炭や石油など化石燃料の生成過程の謎の解明につながる可能性もあります。

そして、北海道石の分析方法が確立されたことで、今後もさらに新種の有機鉱物が見つかる可能性も秘めているようです。

道内で見られる所

二産地のうち、記載に十分なデータが取得できた鹿追町の産地を主模式産地とし、愛別町の産地は副模式産地として設定しました。両産地より得られた標本のうち、データ取得に用いたものは主模式標本および副模式標本として国立科学博物館に収蔵されています。

北海道では「とかち鹿追ジオパークビジターセンター」で観ることができます。

とかち鹿追ジオパークビジターセンター

住所
〒081-0341 北海道河東郡鹿追町瓜幕西29線28番地2
問合せ先
TEL.0156-67-2089
開館時間

9:00~17:00(火・祝日の翌日 休館)

料金

入館無料

愛別町(期間限定)

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今後の課題

新鉱物「北海道石」を含むオパールとその産地について、後世に受け継げるよう保全することが今後の課題となっています。

鹿追町はジオパーク認定地として貴重な自然遺産を保護・保全し次の世代につなぐために『然別火山群のオパール産地』を町として指定文化財に位置づけました。

また、違法採掘を防ぐため現場付近に複数の監視カメラを設置し、林道入り口にはゲートを設け、入林自体も規制しています。

オパール・北海道石の産するエリアはごく限られた範囲にしかなく、産地にはかつて温泉が湧出していた痕跡が残るなど、変動する地球の活動を知る上でも重要な場所です。これらは、被害を被ると二度とその姿を復元できなくなります。

インターネットでは、新種の鉱物として「北海道石」が国際機関に登録されて以降「北海道石」だとする光る石の出品が相次いでいました。紫外線を当てて黄色く光ればすべて「北海道石」というわけではありません。「専門的に分析しないと本物かどうか分からない」ことから、偽物のケースも多いと思われます。また、それが本物だとしても、無断で他人の土地から”もの”を採掘することは法に触れる可能性があります。鹿追町では「無断での採掘は厳に慎んでほしい」と呼びかけています。

 

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